ひな人形   (5)

 寒さもずいぶん和らいで、今年もまたひな祭りの季節が巡ってきました。おひなさまのお顔を見ると、大好きな春が来たなとうれしくなります。

 わが家のひな人形は私の初節句の際に曾祖母から贈られたものです。古物商から求め、親戚の大工さんに七段飾りの台と保管用の箱をこしらえてもらったのだとか。組み立て式なのですが土台の骨組みはほぞ組み、くさびを打って留め、台をはめ込んでいくと全体が安定するという方式。丁寧な手仕事に、出すたび片づけるたびに感心します。

 お人形は一体一体が手のひらにちょこんと載るサイズ。顔立ちもあどけなく、ふっくらとしていて子どもらしい表情です。

 古くなった木の蓋には〈昭和五十一年〉と母の字で書いてある。当時6畳と3畳のアパートに暮らしていた私たちを思って、このサイズにしてくれたのかなと、母はいつも笑いながら言います。子どもが大好きだったという曾祖母がこの愛らしい人形を選んでくれたときのことをあれこれ想像すると、心が温かくなります。

 昔は妹と飾っていましたが、今は娘と二人で飾る。一番下の段はあられなどのお菓子や、大事にしているぬいぐるみなども並べて賑やかに。桃の花や菜の花も生けると、普段地味目な我が家が一気に華やぎます。おひなさまの力ってすごいなあ!

 最近は古道具市で少しずつお道具を買い足したりする楽しみも見つけました。小さい人形に合うものを探すのですが、これが面白い。古いものにこだわっているわけではないけれど、新品よりも時間の経ったものの方が似合いそうな気がするのです。

 唯一の不安はやんちゃ盛りの息子(3月に2歳 ※)の存在。何にでも襲いかかる人で、ひな人形なんて彼にとっては特段魅力的なはず。思いっきり触りたがるだろうなあ。

 だけどまあそれも踏まえた上で、人形を守りながら、みんなで集まってお祝いができるといいなと思っています。おばあちゃんの思いを受け継いで、子どもたちが健やかに育ちますように、平和でありますようにと願います。

 

 

 

  (2015.2.26 京都新聞掲載)