新鮮な味   (6)

 春休み。小学生の娘は重たいランドセルから解放され、ぽわーとのんびりのどかに朝のひとときを過ごしています。朝食をゆっくり食べられるのはうれしいね。ちょっとした贅沢って感じです。

 わが家の朝食の定番は中華蒸籠(せいろ)で蒸す温野菜。蒸籠は横浜中華街で堅牢なものを買い、長持ちさせています(修理もしてくれる)。かたい野菜から時間差でどんどん入れて、できたら熱々の蒸し器ごとそのまま食卓へ。しっとりつややかに蒸し上がった野菜の美しいことといったら! 蒸し過ぎにさえ気をつければ簡単すぎて笑っちゃうほど。ソーセージ、塩麹をまぶしたササミを隅に入れたり、卵は鍋底部分で同時にゆでたりと小さなやりくりも楽しい。味付けは、しょうゆマヨネーズ、オリーブ油にバルサミコ酢など、その日の気分で各自が用意。ちょんちょんとつけながら食べると、塩気も濃くなりすぎません。

 こちらに引っ越してきて新鮮な野菜のおいしさに目覚めました。写真のブロッコリーは東近江市大中(だいなか)町、琵琶湖畔の農家さんが目の前で収穫してくれたもの。一瞬遠近感が狂ったのかな? と思うくらいに巨大でした。一株でも「森」みたいで、以降わが家は「何森食べる?」「4森」「あたしは3森」といった言い方に。味も濃厚、軸の部分が甘くてびっくり。

 プチトマトもそのときのものです。うちの子どもがビニールハウスで収穫させてもらいました。かわいらしいマルハナバチが元気に飛び回るハウス内は大きく育った苗がずらり。ピカピカ輝く宝石のような赤い実がぎっしりと重たげに下がっていました。完熟のものをつまませてもらったら、まるでフルーツみたいな甘さ。ヘタが青臭くて、トマトらしいいい香り。農家さん(実は夫の中学時代の友だち)いわく「5月頃が一番甘いよ。またおいで」と。え、これ以上に甘くなるのですかっ?

 上賀茂の農家さん、亀岡の直売所へもちょくちょく足を運びます。新鮮な味を知ってしまうとそれを求めずにいられなくなる。豆乳はお豆腐屋さんからできたてを買うことができるし、パン屋さんも朝早くからお店が開いているし、京都って豊かだなあ。朝ごはんにシアワセあり。体も心もますます健やかになりました。

 

 

  (2015.3.26 京都新聞掲載)