母と愛宕山へ  (3)

 母の愛宕山(あたごやま)登山に同行しました。久々に山に登るのでトレッキングシューズを荷物の奥から引っぱり出したのですが、底がひび割れていて使い物にならず、あわてて新調しました。ぴかぴかの山靴というのはちょっぴり気恥ずかしいものですね。

 愛宕神社を参り、「ユズの里」として知られる水尾地区で忘年会をするというのが、母の仲間内での恒例行事。今回20人ほどの参加でしたがほとんどの方が私も顔見知り、母の元勤め先の関係のみなさんなのです。「京都に越したんやろ」「子どもたちはいくつになったん」「仕事頑張ってるんやてね」。この会24回皆勤賞の岡田さんは、伊吹山や八ヶ岳に連れて行ってくれた私の山の先生。最近は東海自然歩道をよく歩いておられるそう。そんな道があるのか、楽しそうだなあ。

 清滝口から出発、おのおののペースで何班かに分かれ神社を目指しました。急坂の表参道ではなく、横から回っていくルート。とはいえ結構きつい登りも途中あり、後ろの方で元気にしゃべっていた母の声が、途中からあんまり聞こえなくなってきました。まるで落語の「愛宕山」の、太鼓持ちみたいです。愛宕山坂ええ坂〜って、最初は調子いいんだよねえ。大丈夫かな。

 尾根のあたり、見晴らしのいい大岩のあるポイントで最後の休憩。おいしい空気をいっぱいに吸いこみました。やっぱり山はいいなあ。雲海がふわーっと京の街をつつんでいるのをしばらく眺めていたら、どこかで復活したのかまた母の笑い声が下から聞こえてきました。

 およそ3時間かけ無事に登頂。お参りして、いつも台所に貼っている火の用心のお札をいただいて、一息ついたら下山です。ああ心なしか膝がかくかくするよ…。日ごろの運動不足を痛感する瞬間です。これからもうちょっと鍛えないとなあ。

 下りは母の後を歩きましたが、なんかぶつぶつ言っていると思ったら「酒が飲める飲めるぞー酒が飲めるぞー」とちっちゃい声で歌っていた!

 ユズ風呂でさっぱりしたあとの忘年会は大盛り上がりでした。

 

 

 

(2014.12.25.  京都新聞掲載)