琵琶湖疎水を船下り  (7)

 桜が舞う春のうららの琵琶湖疎水を船で下りました。竣工125周年を迎え、今も現役で活躍するこの疎水。1951年を最後に物資運搬の船は通らなくなっていたものを、64年ぶりに観光船を通すために復活させようとする試みが始まったと聞き、取材をさせていただくことに。

 実は私、乗り物大好き。電車、バスはもちろん、自転車、観覧車、リフトに飛行船…。チャンスがあれば何でも乗ってみたいという性格なのであります。

 大津から蹴上(けあげ)まで全長7・8キロ、およそ60分の船下り。8人乗りの小さなボートに乗り込みました。昔の建造物なので、大きな船は入らないんだそう。確かにスタート地点の川幅は約5メートルほど、目の前のトンネルもかわいらしい造りです。

 ところが入ってみてびっくり。2436メートル、当時は日本一長いトンネルだったとか。今ほど機械がなく、人力が頼りだったそう。内壁にはロープ。昔は船に動力がなかったため上流に戻るときはこのロープを、これまた人の力でたぐって遡っていたのですって! 圧倒的な水の量にどう立ち向かっていたのだろう。

 トンネルを抜けると一面の新緑。家々や学校、そしてかわいらしい橋がいくつも架かり生活の香りが漂います。疎水脇は遊歩道になっているんですね。色とりどりのリュックを背負った方々と「おーい」「おーい」手を振りあいました。ハイキングも楽しそうだなあ。水音も耳に心地良く見所は豊富。ゆったりと終点蹴上に到着です。

 思えばこの蹴上あたりだけでもインクラインや水路閣、山県有朋(やまがたありとも)の別荘無鄰菴(むりんあん)の疎水を引き込んだ庭園など、さまざまな水辺の風景や建造物に触れることができるのでした。豊かな水は、街の発展を支え、暮らしに関わる多くのものをもたらしてくれたんですね。

 滋賀と京都をつなぐ、歴史的にも貴重な疎水。京都の街のことをまた少し深く知ることができました。

 それにしてもこの船下り、ぜひ定期便化していただきたいなあ! 四季折々に訪ね、乗ってみたいなと強く思いました。

 

 (2015.4.23. 京都新聞掲載)